住宅ローンが払えない―リアル体験談から学ぶ“立て直し”の最短ルート

「毎月の住宅ローンが払えないかもしれない」――そう思った瞬間から、胸がざわざわして眠れなくなる方は少なくありません。
「誰にも言えない」「家族に迷惑をかけたくない」と一人で抱えてしまう人も多いのです。

この記事では、“今日できる一手”を言語化し、生活を守る道筋を一緒に描きます


目次

体験談3ケース(原因別に学ぶ)

Case1:収入減(残業ゼロ・育休)

残業代がゼロになったことで、手取りが月5万円以上減少した会社員のAさん。家計は赤字に転落し、不安はピークに。

「夜眠れない日が続きましたが、思い切って金融機関に電話しました」

彼はまず家計簿を作り直し、育休中の妻の復職時期を試算。そのうえで、銀行へ「半年間だけ元金据置」を相談しました。結果、返済額が一時的に半分となり、赤字から脱却。
学びは「早めに数字を出し、正直に伝えれば選択肢が広がる」ということでした。


Case2:離婚・単独名義化の失敗

Bさんは離婚を機に住宅を自分名義に変更。ところが養育費や引越し費用で予算オーバーし、ローン返済が追いつかなくなりました。

「離婚直後は気力もなく、手続きを後回しにしたのが痛手でした」

弁護士に相談し、任意売却で市場価格に近い金額で家を処分。残債は残りましたが、無理のない分割払いに移行できました。
学びは「ライフイベント時は専門家を早めに挟むことが、損失を小さくする近道」でした。


Case3:病気・休職で長期離脱

Cさんは突然の病気で半年以上休職。収入が傷病手当金に限られ、返済が難航しました。

「健康を失ったとき、お金の不安が二重にのしかかりました」

社会保険労務士に相談し、傷病手当金+医療費控除を活用。金融機関には休職証明を添えて返済猶予を依頼し、半年間の猶予が承認されました。
学びは「証拠を揃えて相談すれば、制度と銀行の両方から支援を得られる」ということでした。


「払えない」と感じたら最初にやること(5ステップ)

1. 家計の見える化

まず最初にすべきことは「状況を数字で見える化すること」です。
返済が厳しいと感じるとき、人は「なんとなく払えない」という感覚だけで不安が膨らみます。ですが、固定費・変動費・返済額を月単位で一覧化すると「赤字になるのは何月からか」「あと何か月持つのか」が冷静に分かります。

滞納しそうな時期をカレンダーに書き込み、3か月先までの収支を予測するだけで、気持ちは少し落ち着きます。

まずは自分がどんなことにお金を使ってるのか洗い出しましょう。

  • 家計簿アプリで即入力
  • 赤字月をハイライト
  • 家族に現状を共有

2. 金融機関へ早期連絡

「延滞してから連絡する」のと「延滞する前に相談する」のとでは、対応の柔らかさが全く違います。
金融機関は「事情→期間→希望」を明確に伝えてくれる顧客には前向きに応じてくれることが多いのです。

返済猶予・期日変更・元金据置などは正式に制度として用意されている場合があります。遅れる前に連絡するのが肝心です。

相手にどうすべきか伝えられたことを記録しましょう

  • 電話前にメモを用意
  • 相談内容は録音または議事メモ化
  • 返済予定表を手元に置く

3. 証跡を整える

口頭で「大変なんです」と伝えるより、客観的な証拠資料を添える方が金融機関の信頼を得やすくなります。
給与明細・休職証明・医療費の領収書、離婚協議の進捗資料など、生活の変化を裏付けるものを集めておきましょう。

特に「収入減」「病気」「離婚」は定型的に用いられる資料があるので、整えてから相談に臨むのがベストです。

アクション

  • 書類をクリアファイルにまとめる
  • コピーを取って保存
  • 必要に応じて弁護士に提出

4. 並走先の確保

「一人で抱え込む」のが一番危険です。
制度や法律の知識を持つ人に並走してもらうことで、選択肢の幅が大きく広がります

たとえば、法テラス(日本司法支援センター)の無料相談、自治体の生活・法律相談窓口、社会福祉協議会の生活福祉資金貸付制度など。これらは公的に用意された支援策です。

迷った場合はすぐに専門家に相談しましょう。

  • 役所HPで相談窓口を確認
  • 予約して初回面談へ
  • 法テラスの電話番号を登録

5. 代替策の比較

最後に、「どの選択肢が自分に合うか」を比較しましょう。
返済条件変更(リスケ)、借り換え、繰上げ返済の停止、売却(任意売却を含む)など、いずれもメリット・デメリットがあります。

「まだ大丈夫」と先送りしてしまうと、手段が減り不利な形で追い込まれることが多いのです。だからこそ、動かないことが一番のリスクと心得てください。

まずは支払い状況を整理する必要があります。シュミレーションしてみましょう。

  • 借り換えシミュレーションを利用
  • 売却査定を複数社に依頼
  • FPや弁護士と比較検討

💡 借り換えは延滞前であれば有力な選択肢です。金利差だけで月1〜2万円軽減できることもあります。


延滞〜代位弁済〜競売の“よくある流れ”

延滞が続くと、多くの契約では以下の流れをたどります。

  1. 催告(数週間〜1か月程度)
  2. 期限の利益の喪失(=分割で払える権利を失い、一括請求となる)
  3. 保証会社による代位弁済
  4. 裁判所への競売申立て(数か月〜半年程度)

期間や対応は金融機関・契約内容によって異なります。

  • 出典:住宅金融支援機構「返済方法の見直し」
  • 出典:裁判所「民事再生手続(個人再生)」

打ち手の比較表(文章で簡潔に)

  • 返済条件変更(リスケ):返済期間を延ばして月額を減らす。向く人=一時的収入減。注意=総返済額は増える。
  • 借り換え:金利低下を狙う。向く人=延滞前で信用に余裕がある。注意=審査厳格。
  • 任意売却:競売より高く売れる可能性。向く人=残債が大きい人。注意=信用情報へ影響。
  • 個人再生(住宅資金特別条項):家を残しつつ債務圧縮。向く人=安定収入がある人。注意=裁判所手続き必須。
  • 自己破産:生活再建を優先。向く人=返済見込みが皆無な人。注意=持家処分が前提。

金融機関との“話し方”と準備物

伝える順番は、

  1. 事実(収入減・病気など)
  2. 理由(なぜ払えないか)
  3. 期間(いつまでか)
  4. 希望(猶予・変更など)

準備物は、家計表・収支見込み・証明書類・身分証・物件資料。
NG行動は虚偽申告・連絡断ち・同時多発の借入申込です。
面談後は必ず議事メモと次回期日を文書化しましょう。


心と家計を守る外部リソース

  • 法テラス(日本司法支援センター):無料法律相談
  • 自治体の生活・法律相談:市区町村役所の窓口
  • 消費生活センター:契約トラブルや借金相談
  • 社会福祉協議会「生活福祉資金貸付制度」:緊急時の貸付
  • 厚生労働省制度:傷病手当金、児童扶養手当など

FPの私が見た“持ちこたえるコツ”

  • 3か月先のキャッシュフローを毎週更新
  • 固定費は「通信→保険→サブスク→車関連」の順に見直す
  • 家族・職場に最小限共有し、一人で抱え込まない

そして何より、
「早く動けば、選べる選択肢が増えます」


まとめ

  • 家計と証拠を今日中に可視化
  • 金融機関へ事情と希望を連絡
  • 公的窓口・専門家の並走先を確保
  • そして「借り換えで返済額を下げられるか」

そして最後に、もし「少しでも毎月の負担を軽くできないか」と思ったら、借り換えの可能性を確認することが大切です。延滞前であれば審査の通りやすさも残されており、金利差だけで月1〜2万円変わるケースもあります。

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順番と記録を味方にすれば大丈夫。必ず出口は見えてきます。


FAQ

Q: 何か月延滞で「期限の利益喪失」になりますか?
A: 一般には2〜3か月が目安ですが、金融機関や契約で異なります。必ず契約書を確認しましょう。

Q: 代位弁済後でも交渉できますよね?
A: 大丈夫です。保証会社と交渉可能ですが、条件は厳しくなる傾向があります。

Q: 任意売却と競売、家計に与える影響はどちらが小さいでしょうか?
A: 多くは任意売却の方が有利とされますが、状況により要確認です。

Q: 個人再生の住宅資金特別条項は誰でも使えますか?
A: 安定収入がある人が対象です。裁判所「民事再生手続(個人再生)」を参照ください。

Q: 借り換えは“延滞歴”があると難しいですよね?
A: はい。延滞があると審査は厳しい傾向です。大丈夫、まず現行ローンの見直しから動きましょう。

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