宅建士が教える!賃貸の敷金精算・原状回復の重要ポイントと注意点とは?

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賃貸物件を退去する際には、原状回復の義務や敷金の返還など、多くの重要なポイントがあります。特に、原状回復費用の負担については、貸主と借主の認識の違いによるトラブルが発生しやすいため、正しい知識を持って対応することが大切です。本記事では、賃貸の退去時に注意すべき点を詳しく解説します。

目次

退去の連絡はいつすればいい?

賃貸契約では、退去する前に管理会社や大家に通知する義務があります。通常、1か月前の通知が必要ですが、契約によっては2か月前のケースもあるため、賃貸借契約書を確認しましょう。

また、通知は口頭ではなく、書面やメールで送るのが望ましいです。証拠が残るため、後のトラブル回避に役立ちます。

原状回復のルールを理解しよう

原状回復とは?

原状回復とは、「退去時に借主の責任によって生じた損耗やキズを修復すること」です。ただし、すべての損耗を借主が負担するわけではなく、以下のように区分されます。

借主が負担すべきもの

  • 故意・過失による損耗
    • 室内でタバコを吸って部屋がヤニだらけになったなどが該当します。
  • 通常の使用を超えた損耗
    • 壁に穴をあけて棚を設置した、その際の穴の補修などが該当します。
  • 善管注意義務違反による損耗(換気不足によるカビなど)
    • まったく清掃を行わず、浴室がカビだらけになったため汚れが取れなくなったなどが該当します。

貸主が負担すべきもの

  • 経年劣化
    • 日差しの当たる部屋のフローリングの日焼けなどが該当します。
  • 通常損耗
    • 冷蔵庫などの重い家具や家電を置いたときにできるフローリングのへこみなどが該当します。
  • グレードアップに伴う修繕
    • エアコンが壊れてしまい、壊れてしまったものよりも高いグレードのエアコンに取り換えた場合など。

原則として、経年劣化や通常損耗は貸主負担であり、借主は負担する必要はありません。

悪質な管理会社などは借主が負担する必要のない費用を請求したりします。その時は「これは借主負担ではないです、同意できません。」など意思をはっきり示しましょう。

借主の故意・過失があったとしてもすべて直す必要はない。

賃貸住宅を退去する際に、故意・過失や善管注意義務違反など借主の責任によって生じた損耗やキズなどは原状回復しなければなりません。しかし、壁紙を傷つけたからすべての壁紙の費用を負担する、というだけではなく、損耗やキズは発生した箇所の補修・または交換に必要な最低限の範囲を直せばよいです。

善管注意義務ってなに?

賃貸物件は大家さんのものです。ですから他人をものを使うときは注意して使用・管理してね、という意味です。

原状回復をするときは経過年数を考慮する

借主の過失で壁紙を傷つけてしまったなどとして、実際に原状回復の費用を負担することになったときは借主の費用で行います。しかし、もし仮にその壁紙が2年、3年と使われていた場合はその壁紙も傷つけるまでに経年劣化などの通常損耗をしており、その部分の費用については貸主が負担すべき部分です。

入居期間が長くなればなるほど、大きな経年劣化や通常損耗がおこり、最終的な物の残存価値は1円になりますが、だからといってどんな扱い方をしてもいいとはなりません。原状回復の際に工事費用などを負担しなければならなくなる可能性があることを覚えておきましょう。

よくある項目の表です、参考にしてみてください

スクロールできます
項目負担単位経過年数の考慮備考
1枚単位考慮しない裏返し・表替えは毀損の程度による
カーペット・クッションフロア毀損部分(単位なし)考慮する居室全体の張替えになる場合もあり
フローリング㎡単位部分補修は考慮しない、全体張替えは考慮する耐用年数から負担割合を算定
クロス㎡単位考慮する必要に応じて一面分まで負担あり
タバコのヤニクリーニングまたは張替え考慮しない通常損耗とは考えず借主負担
ふすま・障子1枚単位考慮しないふすま紙・障子紙は消耗品扱い
1本単位耐用年数から考慮する場合あり
設備機器補修部分・交換相当費用考慮する新品交換も含め負担割合を算定
紛失の場合はシリンダー交換考慮しない交換費用は借主負担
通常の清掃部位ごと・住戸全体考慮しない通常清掃を怠った場合のみ借主負担

退去立ち会い時のチェック項目

  • 修繕費用の見積もりを確認する
  • 敷金の返還額について説明を受ける
  • 退去後の追加請求がないか確認する
  • 退去時も写真を撮影して証拠を残す

修繕費用について疑問がある場合は、その場でサインせず、内容をじっくり確認することが大切です。もしサインをしてしまうとその内容に同意したと見なされます。

敷金の返還について

敷金は、退去時の原状回復費用を差し引いた上で返還されます。以下の流れを把握しておきましょう。

敷金返還の流れ

  1. 退去立ち会い後、修繕費用が計算される
  2. 修繕費用に納得できない場合は交渉する
  3. 相手と交渉が成立したら敷金を返還を請求する

借主が負担する必要がない費用など不要に請求してくる管理会社もいます。また相手の管理会社は不動産に関して精通しており、個人で交渉するのが難しいと感じることも多いと思います。その時は「国民生活センター」に相談するとそれぞれに問題に精通した担当者(例えば賃貸のトラブルなら不動産に精通している)が相談に乗ってくれます。

全国の消費者生活センター 国民生活センター
https://www.kokusen.go.jp/map/

退去時の立会いは法律の観点からみて強制ではない

賃貸の退去の手続きは相手に鍵を受け渡して部屋の明け渡しとなります。悪質な管理会社は「立ち合いは必須です。」、「立ち合いをしないと退去できません。」と言ってくる場合がありますが、賃貸に退去立ち合いに関する法律の定めはありません。賃貸の鍵の返納は管理会社に証拠が残るメールなどでレターパックプラスや簡易書留で返送する旨と追跡番号を伝えて返送すれば問題ありません。

ただし、賃貸借契約書に特約として「退去時の立会いは必須」と書かれている場合は立ち合いをしなくてはなりません。

各種手続きも忘れずに

賃貸住宅を明け渡してしまうと郵便物や荷物などを受け取れなくなります。余裕をもって関連手続きは進めましょう。

  • ライフライン(電気・ガス・水道)の解約
  • 郵便物の転送届を出す(日本郵便の公式サイトで申請可能)
  • 住民票の住所変更
  • インターネット回線の解約や移転手続き

特に、ライフラインなどの電気・水道・ガスなどの解約を忘れると基本料金が発生し続けるため、必ず手続きを済ませましょう。

まとめ

賃貸退去時には、契約内容をしっかり確認し、原状回復のルールを理解することが大切です。ポイントを押さえて、トラブルなく退去しましょう。

  • 退去の連絡は証拠の残るメールで!1か月から2か月前に連絡する場合が多い!
  • 退去すると借りていた部屋の原状回復をする必要がある!
  • 原状回復の費用は貸主負担と借主負担がある!
  • 退去の立会いは強制ではない!鍵を受け渡して部屋を明け渡したとする!
  • 困ったら自分で悩まずまずは国民生活センターの専門担当に相談を!

出展 東京都住宅政策本部 賃貸住宅トラブル防止ガイドライン
https://www.juutakuseisaku.metro.tokyo.lg.jp/juutaku_seisaku/tintai/310-4-jyuutaku.htm

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