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出生後休業支援給付金の概要と支給要件
2025年4月から新たに「出生後休業支援給付金」が創設され、育児休業給付金に加えて支給されます。いわゆる育児休業給付金80%に引き上げ!とはこの出生後休業支援給付金のことを指しています。
要件を満たすと、育児休業給付金が最大67%、出生後休業支援給付金が13%、併せて80%支給されます。給付金は非課税、休業中は社会保険料が免税されるため実質手取り100%です。
以下は、給付金を受け取るための詳細な支給要件と手続きについて解説します。
支給要件
出生後休業支援給付金を受けるには、以下の2つの要件を満たす必要があります。
1. 被保険者本人の育児休業取得
- 条件
- 同一の子について、雇用保険の被保険者が対象期間内に通算して14日以上育児休業または出生時育児休業(産後パパ育休)を取得していること。
- 雇用保険の被保険者の配偶者が 、 「子の出生日または出産予定日のうち早い日 」から 「子の出生日または出産予定日の うち遅い日から起算 して 8週間を経過する日の翌日 」 までの期間に通算 して 1 4日以上の育児休業を取得 した こ と 、または 、子の出生日の翌日において 「配偶者の育児休業を要件と しない場合 」に該当 し ている こと 。
対象期間とは?
- 対象期間は以下の通りです。
- 雇用保険の被保険者が産後休業をしていない場合は、「子の出生日または出産予定日のうち早い日」から 「子の出生日または出産予定日のうち遅い日から起算して8週間を経過する日の翌日 」までの期間 。
- 雇用保険の被保険者が産後休業をした場合は、「子の出生日または出産予定日のうち
早い日」から 「子の出生日または出産予定日のうち遅い日から起算して16週間を経過する日の翌日 」までの期間。
2025年4月1日より前から育児休業(産後パパ育休)をしている場合は「子の出生日または出産予定日のうち早い日」とされる要件が2025年4月1日に代わります。
具体的な例
産後休業をしていない場合の具体例
- 子の出生日:2025年4月5日
- 出産予定日:2025年4月3日
この場合、早い日(出産予定日)は2025年4月3日です。
遅い日(子の出生日)は2025年4月5日です。
育児休業給付金の対象期間は、次のように計算されます。
- 早い日(2025年4月3日)からスタート
- 遅い日(2025年4月5日)から8週間後の翌日が終了日
2025年1月1日から8週間後は2025年5月31日。
その翌日、2025年6月1日が終了日なので2025年6月1日までに雇用保険の被保険者が通算して14日間の育児休業または産後パパ育休を取得している必要があります。
産後休業をした場合の具体例
- 子の出生日:2025年4月3日
- 出産予定日:2025年4月5日
この場合、早い日(出産予定日)は2025年4月3日です。
遅い日(子の出生日)は2025年4月3日です。
育児休業給付金の対象期間は、次のように計算されます。
- 早い日(2025年4月3日)からスタート
- 遅い日(2025年4月5日)から16週間後の翌日が終了日
2025年4月3日から16週間後は2025年7月26日。
その翌日、2025年7月27日が終了日なので2025年7月27日までに雇用保険の被保険者が通算して14日間の育児休業または産後パパ育休を取得している必要があります。
2025年4月より前から育児休業をしている場合の具体例。
もっともややこしいパターンです。図を交えて説明します。
- 子の出生日:2025年2月17日
- 条件:雇用保険の被保険者が産後休業をしていない場合は、「子の出生日または出産予定日のうち早い日」から 「子の出生日または出産予定日のうち遅い日から起算して8週間を経過する日の翌日 」までの期間 。
- 2025年2月17日に生まれているので、「子の出生日または出産予定日のうち早い日」が2025年4月1日を基準とする日として置き換わります。
- 「子の出生日または出産予定日のうち遅い日から起算して8週間を経過する日の翌日 」とは生まれた日の2025年2月17日です、この日から起算して8週間後の日の翌日(57日後)は2025年4月14日です。
- まとめると、雇用保険の被保険者が産後休業をしていない場合は、「2025年4月1日」から 「2025年4月14日 」までの期間 中に、通算して14日以上育児休業または出生時育児休業(産後パパ育休)を取得していること。となります。

- 要件は2025年4月1日から通算して14日以上育児休業または出生時育児休業(産後パパ育休)を取得していることがポイントとなります。
- 8週間の場合は2025年2月17日以降の出産、16週間の場合は2025年1月5日以降の出産、この日付より早く生まれた子は出生後休業支援給付金の支給対象外となります。
2. 「配偶者の育児休業を要件としない場合 」に該当する項目は?
これは、被保険者(育児休業を取得する本人)の配偶者が、必ずしも育児休業を取得していなくても、育児休業給付金の要件を満たす場合があることを指しています。通常、育児休業給付金を受ける条件として「配偶者が一定期間(14日以上)の育児休業を取得している」ことが必要な場合があります。しかし、「配偶者の育児休業を要件としない場合」とは、配偶者が育児休業を取っていなくても問題ない特別なケースのことです。下記の項目を参考にしてください。
- 配偶者がいない
- 配偶者が被保険者の子と法律上の親子関係がない
- 配偶者から暴力を受け別居中
- 配偶者が無業者
- 配偶者が自営業者やフリーランスである
- 配偶者が産後休業中
- その他合理的な理由で育児休業が取得できない場合
支給額
支給額は、雇用保険の被保険者の休業開始時賃金日額を基に計算されます。
- 育児休業給付金
- 賃金日額 × 支給日数 × 67%(育児休業開始から181日目以降は50%)
- 出生後休業支援給付金
- 賃金日額 × 対象期間内の休業期間(日数上限28日) × 13%
- 休業開始時賃金日額ってなに?
-
休業の開始前直近6か月間に支払われた賃金の総額を180で割って出た数字が日額です。
- 給料の高い人は給付金もたくさんもらえるの?
-
休業開始時賃金日額には上限額と下限額があり、毎年8月1日に見直されます。
2025年4月1日時点では育児休業給付金の上限額は15,690円です。
2025年4月1日時点では育児休業給付金の下限額は2,869円です。
2025年4月1日時点では出生後休業支援給付金の上限額は57,111円です。
2025年4月1日時点では出生後休業支援給付金の下限額は10,443円です。
例:
- 賃金日額が10,000円の場合
- 育児休業給付金 = 10,000円 × 30日 × 67% = 201,000円
- 出生後休業支援給付金 = 10,000円 × 28日 × 13% = 36,400円
手続き方法
1. 受給資格確認と申請
事業主を通じて以下の手続きを行います。
- 出生後休業支援給付金の支給申請は、原則として、出生時育児休業給付金または育児休業給付金
の支給申請と併せて、同じ支給申請書を使って申請をします。 - 出生時育児休業給付金または育児休業給付金の申請後に、出生後休業支援給付金の支給申請を
別途行うことも可能ですが、その場合は、出生時育児休業給付金または育児休業給付金が支給さ
れた後に申請しましょう。
3. 支給スケジュール
- 給付金は、申請後約1週間で被保険者本人の口座に振り込まれます。
- 分割で取得する場合、2回目以降の育児休業についても追加申請が必要です。
注意点
- 事業主から賃金が支払われている場合、支給額が減額される可能性があります。
支払われた賃金 | 育児休業給付金の金額 | 出生後休業支援給付金の金額 | 注意点 |
---|---|---|---|
「休業開始時賃金日額× 休業期間の日数」の13%以下 | 休業開始時賃金日額×休業期間の 日数×67% | 休業開始時賃金日額×休業期間の 日数×13% | 育児休業の181目以降は13%が30%に、67%が50%に変わります。 |
「休業開始時賃金日額× 休業期間の日数」 の13%超から80%未満 | 休業開始時賃金日額×休業期間の 日数×80%ー賃金額 | 休業開始時賃金日額×休業期間の 日数×13% | 育児休業の181目以降は13%が30%に変わります。 |
「休業開始時賃金日額× 休業期間の日数」 の80%以上 | 給付なし | 給付なし | – |
おわりに
出生後休業支援給付金は、育児に専念するための新たな支援制度です。勤務先も正しく理解していない場合があります、正しく制度を理解して、適切な手続きを行い、しっかりと活用しましょう。
- 育児休業給付金と出生後支援給付金は別々の制度!
- 両方の制度を利用すると給付率が80%、実質手取り100%!
出展 厚生労働省 出生後休業支援給付金、育児時短就業給付金の創設(令和7年4月1日)
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001372778.pdf
出展 厚生労働省 育児休業等給付の各給付金の内容と支給申請手続
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001374955.pdf
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