医療費が高くなったとき、私たちを助けてくれる制度の一つに「付加給付制度」があります。この制度は、健康保険組合や共済組合に加入している人にとって、医療費の負担をさらに軽くしてくれる大切な仕組みです。特に、長い間治療が必要ながん患者さんや、高額な治療を受ける人にとっては、とても役立つ制度です。この記事では、付加給付制度の基本から具体的な使い方まで、わかりやすく説明します。
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付加給付制度とは?
付加給付制度は、健康保険組合や共済組合が独自に設けている制度で、高額療養費制度に上乗せして医療費を返してくれるものです。高額療養費制度は、1ヶ月間に支払った医療費が一定額を超えた場合、その超えた分が後で返ってくる制度ですが、付加給付制度はこれにさらに上乗せして給付を行います。
ただし、この制度はすべての健康保険に適用されるわけではありません。国民健康保険や全国健康保険協会(協会けんぽ)には付加給付制度はありません。主に、大企業が作る健康保険組合や、公務員が加入する共済組合で利用できる制度です。
付加給付の対象者
付加給付制度の対象となるのは、健康保険組合や共済組合に加入している本人だけでなく、その家族(被扶養者)も含まれます。つまり、家族全員がこの制度の恩恵を受けることができる場合が多いです。
ただし、退職後に任意継続被保険者となった場合、付加給付制度が使えるかどうかは、加入している健康保険組合によって違います。任意継続被保険者でも付加給付が使える健康保険組合は少ないので、詳しくは加入している組合に確認する必要があります。
付加給付の金額
付加給付の金額は、健康保険組合や共済組合ごとに違います。一般的には、自己負担限度額が決まっていて、この限度額を超えた分が後で返ってきます。自己負担限度額は、健康保険組合によって違いますが、25,000円としている組合が多いです。20,000円や30,000円としている組合もあります。
例えば、自己負担限度額が25,000円の健康保険組合に加入している場合、1ヶ月間に医療費が1,000,000円かかったとします。この場合、高額療養費制度で一定額が健康保険から支払われ、さらに付加給付制度によって25,000円を超えた費用が支払われることになります。
治療費の総額が100万円だった場合

限度額適用認定証とは
ここでは、付加給付制度がどのように使われるのか、具体例を交えて説明します。
ケース1:限度額適用認定証を提示しない場合
限度額適用認定証を提示しない場合、医療機関の窓口で実際に支払った金額が高額療養費制度の対象となります。その後、高額療養費制度で返金が行われ、さらに付加給付制度によって自己負担限度額を超えた分が返ってきます。
例えば、1ヶ月間に医療費が100,000円かかり、いったん医療費の100,000円を立て替えて支払います。後日、高額療養費制度の申請を行い80,000円が返還され、自己負担額は20,000円です。もし、付加給付制度の自己負担限度額が25,000円であれば、20,000円は限度額内なので付加給付の対象にはなりません。
ケース2:限度額適用認定証を提示する場合
限度額適用認定証を提示すると、医療機関の窓口で支払う金額が自己負担限度額までに抑えられます。その後、高額療養費制度と付加給付制度によって、自己負担限度額を超えた分が返ってきます。
例えば、1ヶ月間に医療費が100,000円かかり、限度額適用認定証を提示したことで窓口での支払いが25,000円に抑えられたとします。この場合、高額療養費制度で75,000円が返還されることになりますが、健康保険組合で自動で処理されるので手続きは不要となります。
- 限度額適用認定証ってなに?
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医療機関での支払いが自己負担限度額までになるカードのことです。
- マイナ保険証だと利用できないの?
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マイナ保険証の方は医療機関で手続きをする際に表示される「限度額情報の表示」に同意するだけで利用できます。
共済組合の附加給付
公務員が加入する共済組合では、付加給付制度は「附加給付」と呼ばれています。健康保険組合と同様に、共済組合ごとに附加給付の内容や金額が違いますが、一般的には自己負担限度額が25,000円(標準報酬月額53万円以上は50,000円)としているケースが多いです。
付加給付制度を活用するためのポイント
- 加入している健康保険組合や共済組合の制度を確認する
付加給付制度は、健康保険組合や共済組合ごとに内容が違います。まずは、自分が加入している組合の制度を確認しましょう。 - 限度額適用認定証を活用する
限度額適用認定証を提示することで、窓口での支払いを抑えることができます。特に、高額な治療を受ける予定がある場合は、事前に認定証を取得しておくことが重要です。 - クレジットカード払いを活用する
限度額適用認定証を提示しない場合、クレジットカードで支払うことでポイントを貯めることができます。ただし、この場合は後で返金が必要になる場合があります。利用する前に自分の健康保険組合に確認してから利用しましょう。
まとめ
付加給付制度は、高額な医療費がかかる場合に、さらなる負担軽減を図るための重要な制度です。健康保険組合や共済組合に加入している人は、この制度を積極的に活用することで、医療費の負担を軽くすることができます。ただし、制度の内容は組合ごとに違うため、まずは自分が加入している組合の制度をしっかりと確認することが大切です。
医療費の負担が大きくなりがちな現代社会において、付加給付制度は私たちの生活を支える重要な仕組みです。ぜひこの制度を活用して、安心して医療を受けられる環境を整えましょう。
- 健康保険組合や共済組合が独自に設けている制度で、高額療養費制度に上乗せして医療費を返してくれるものです
- すべての健康保険に適用されるわけではありません
- 25,000円としている組合が多い
- 家族(被扶養者)も含まれます
出展 日本製鉄健康保険組合 医療費負担額と給付金
https://www.kenpo.gr.jp/nskenpo/contents/shikumi/kyufu/iryouhi/index.html
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