「派遣契約の途中だけど、退職代行を使ったら違約金を請求されるかも…」。そんな不安を抱える方は少なくありません──
結論から言えば、多くの場合、違約金は無効となるケースが大半です。本記事では実例と回避策を詳しく解説します。
派遣契約と違約金の仕組み【基礎解説】
派遣社員として働く際、雇用契約の当事者は「派遣会社」と「あなた(派遣労働者)」であり、実際の勤務先である派遣先企業とは直接の雇用関係はありません。
契約期間中に自己都合で退職した場合、派遣元(派遣会社)から「契約不履行による損害賠償」や「違約金」を請求されるケースがありますが、労働基準法や民法では、労働者に対する過度なペナルティは原則として無効です。
ただし、契約内容や辞め方次第では“揉める”可能性があるため、事前の知識が非常に重要です。
実例 Case#1〜#3
Case#1:試用期間中に退職代行を利用
- シチュエーション:派遣期間3ヶ月(試用中)/製造業・ライン作業/勤務2週間で退職
- 請求内容:派遣元から「営業損害」として10万円の請求
- 結果:弁護士対応の退職代行を通じて支払い拒否。派遣元が請求を断念
- 解決プロセス:
弁護士が「違約金は無効であり、契約自由の原則に基づく退職の自由が優先」と交渉。退職日は法的に有効と認められ、交渉終了。
「まさか試用期間中でも違約金を言われるとは…弁護士に頼んで正解でした」(20代・男性)
Case#2:契約期間6ヶ月のうち3ヶ月で退職
- シチュエーション:派遣期間6ヶ月/事務職/3ヶ月目に退職代行利用
- 請求内容:営業担当から口頭で「損害分を請求する可能性あり」と伝達
- 結果:正式な請求は届かず、派遣会社が社内対応のみで収束
- 解決プロセス:
代行業者が派遣会社と連絡を取り、契約終了と残務整理の流れを調整。正式な文書での請求はなかったため支払い義務なし。
「引き止めが強くて心が折れそうでした。代行が盾になってくれて安心でした」(30代・女性)
Case#3:契約直前で就業拒否、退職代行を依頼
- シチュエーション:契約開始前の辞退(契約書は既に締結)/販売職
- 請求内容:「事前研修費2万円」「営業損害3万円」など合計5万円
- 結果:契約前のキャンセル扱いで全額支払い回避
- 解決プロセス:
弁護士が「未就労かつ損害の具体性が曖昧」と主張し、派遣元も法的請求を断念。以降の書面連絡も停止。
「契約前なのにお金の話ばかり…最初から法律のプロに任せるべきでした」(20代・女性)
法的根拠と企業の主張ポイント
派遣労働者に違約金や損害賠償を請求する行為については、以下の法律が関係します。
- 民法 第628条
「やむを得ない事由がある場合、労働契約を直ちに解除できる」 - 労働契約法 第16条
「解雇その他、労働者の権利制限は客観的合理性・社会的相当性が必要」 - 通達(厚生労働省:平成20年3月28日 基発0328005号)
「違約金を定めたり、損害賠償額を予定することは禁止」
企業がよく使う“主張”ポイント
- 「契約満了前の離職は営業損害にあたる」
- 「代替要員確保にコストがかかっている」
- 「本人都合だから補填は当然」
→ これらの主張は、法律的にはほとんど通用しないと考えてよいでしょう。
解決策&予防策
- 契約内容(特に退職条件・ペナルティ条項)を必ず事前確認する
- 就業前の段階であれば、辞退の自由がある
- トラブルが起きたら退職代行は弁護士型を選択すること
- 請求が届いた場合は、口頭対応せずに書面で記録を残す
- 不当な請求には労働基準監督署や法テラスに相談する
専門家コメント
社会保険労務士・田村直人氏
「契約途中の退職は感情的には揉めやすいですが、違約金を取ることは法律上困難です」
弁護士・西岡真理氏(労働法務専門)
「派遣契約の損害賠償請求は、損害の具体性が証明できなければ認められません」
まとめ
- 派遣契約中の退職でも違約金の請求はほぼ認められない
- 法的根拠を理解し、請求があっても冷静に対応する
- 安全に辞めたいなら弁護士型の退職代行を選ぶのが確実

FAQ
Q: 派遣契約を途中で辞めたら損害賠償されますか?
A: 原則として法的には無効です。実際に支払う義務はほぼ発生しません。
Q: 契約前に辞退しても違約金を取られることはありますか?
A: 未就業であれば契約解除は自由であり、違約金も請求されません。
Q: 弁護士型の退職代行を使うとどう違いますか?
A: 請求や交渉にも法的に対応可能なため、安心して任せられます。
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