退職代行利用後に損害賠償請求された事例はある?企業側の主張を検証

「退職代行で辞めたあと、会社から損害賠償を請求されたらどうしよう…」。そんな不安を抱えるあなたへ。本記事では実際の事例と法律的観点から、企業側の主張が成立するケース・しないケースを検証します。


目次

企業が損害賠償を主張する典型パターン

企業が退職者に損害賠償を求める際によく挙げる理由は、以下の3つです。

  • 業務引き継ぎの不備による損害
     重要な仕事が途中で放棄されたと主張されるケース。
  • 急な欠員による業務停止・代替人材コスト
     欠員補充が間に合わず、営業停止などの損害が出た場合。
  • 顧客や取引先とのトラブル対応コスト
     退職の混乱で信頼を損なったと主張される場合。

私が労務相談で対応した企業でも、「損害」として感情的に訴えてくるケースは珍しくありません。


判例・実例 3 ケース

Case①:小売業・販売職/20代女性

  • 概要:入社2年目で退職代行を通じて即日退職。引き継ぎ不十分。
  • 企業の請求内容:店舗業務の混乱による売上損失として55万円を請求。
  • 結果:本人側が弁護士を立てて対応。裁判には至らず、請求は撤回。

「“請求されるかも”の不安はあったけれど、法的根拠がないと知って安心しました」

Case②:IT企業・エンジニア/30代男性

  • 概要:業務繁忙期に退職代行で退職。プロジェクトが一時中断。
  • 企業の請求内容:納期遅延による損害賠償100万円を主張。
  • 結果:東京地裁にて棄却。「個人責任を問う合理的根拠がない」と判断。

「会社から訴状が届いたときは冷や汗が出ましたが、専門家が味方になってくれて助かりました」

Case③:物流業・ドライバー職/40代男性

  • 概要:急病を理由に退職代行を利用。連絡なく翌日から欠勤。
  • 企業の請求内容:納品トラブルによる損害と信用失墜を理由に80万円。
  • 結果:地裁判断では「通常の業務リスクの範囲内」とされ、企業側の請求は却下。

「正直、病気だったとはいえ突然の退職には罪悪感がありました」


法的観点からの検証

企業側が損害賠償請求を行うには、以下の法的ハードルをクリアする必要があります。

主な法的根拠と制限

  • 民法第628条:やむを得ない事由があれば即時解約は有効(出典:e-Gov)
  • 労働契約法第16条:解雇同様、損害賠償も「客観的に合理的理由」が必要
  • 最判昭和50年7月8日(最高裁):労働者個人への損害請求には高度な立証が必要とされた

請求を通すためのハードル

  • 実損害の具体的な金額を立証すること
  • 退職者の行動が「故意または重過失」であること
  • 損害が通常業務のリスクを超えていたと判断されること
  • 実際の業務影響と個人の退職行為との因果関係が明確であること

実務上、これらすべてを証明するのは非常に困難です。


損害賠償を避ける 5 つの実践ポイント

ポイント①:退職の意思は記録で残す

理由:書面やメールで退職の意思表示があると、トラブル時に証拠になります。
具体アクション

  • 退職届の写しを自分で保管
  • 代行業者にも記録提出を依頼
  • 送付先や送付日を確認しておく

LINEではなくメールにしておいて正解でした。

ポイント②:最低限の引き継ぎメモを用意

理由:引き継ぎ放棄と見なされるリスクを軽減できます。
具体アクション

  • 使用中のツールやパスワード一覧を整理
  • 顧客対応状況や懸念事項をメモに残す
  • 退職代行に添付して渡す

送ったメモが「助かった」と後日知人から聞きました。

ポイント③:退職代行は弁護士対応を選ぶ

理由:法的トラブルに対応できるのは弁護士のみです。
具体アクション

  • 労働問題に強い弁護士を選ぶ
  • 損害賠償対応の実績を確認
  • 対応エリアや費用の確認も忘れずに

弁護士代行にしていたことで安心して対応できました。

弁護士を検討している方はぜひこちらの記事も参考にしてみてください。

ポイント④:在職中のトラブルは記録に残す

理由:企業側に非があることを示せれば防御材料になります。
具体アクション

  • 業務過多・パワハラなどの証拠を記録
  • 日報・メール・録音を整理
  • 退職理由として一貫性を持たせる

スマホのメモが後から重要な証拠になりました。

ポイント⑤:退職代行業者とよく相談する

理由:対応ミスによる誤解や請求リスクを避けられます。
具体アクション

  • 企業とのやり取り方針を明確にしておく
  • 必要に応じて退職理由を調整
  • 送付文面の確認も依頼する

初回ヒアリングで「損害請求リスク」まで説明され、信頼できました。


専門家コメント

弁護士・佐藤隆介氏(労働法専門)
「労働者の即時退職は民法628条で一定程度認められています。企業の損害請求は、実際にはほとんど認められません」

弁護士・中原舞子氏(企業側労務対応)
「感情的に“請求するぞ”と脅す企業はありますが、訴訟となれば企業側の立証責任が非常に重いです」


まとめ

  • 損害賠償請求は現実にはハードルが高く、法的に認められるケースは稀です
  • 請求を避けるには、記録・準備・弁護士対応がカギになります
  • 不安な場合は、退職代行選びから専門家の力を借りましょう

「弁護士代行って高いのでは…?」と不安な方は、
こちらの【退職代行は弁護士が安心!確実に辞めたい人のための選び方】をご覧ください。

また、クレカ対応で費用を抑えられる退職代行まとめも併せてご確認ください。


FAQ

Q: 損害賠償を請求されたら必ず払わないといけない?
A: 原則として裁判で認められなければ支払い義務はありません。まずは専門家に相談を。

Q: 業務引き継ぎが不十分だったら損害賠償される?
A: 実害と因果関係が立証されなければ、請求は認められにくいです。

Q: 弁護士の退職代行はなぜ安心?
A: 損害賠償や訴訟リスクに直接対応できる法的資格を持つためです。

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