「地方公務員でも退職代行って使えるの?」──教員や市役所職員からそんな相談が増えています。本記事では、地方公務員法のポイントと実際の事例を踏まえ、安全に退職するためのチェックポイントをまとめます。
教員・公務員が退職するときの法的フレーム
公務員、とくに地方自治体の職員である教員などが退職する場合には、民間とは異なる法的枠組みが適用されます。主な根拠法は以下の通りです。
- 地方公務員法第29条
分限や懲戒に関する退職・免職の規定です。本人希望の退職にも一定の手続きが必要です。 - 地方公務員法第31条
職員の辞職に関して、「任命権者の承認」を必要とする旨が定められています。 - 教育公務員特例法
教員の採用・異動・退職等に関する特別法。教育委員会が任命権者となります。
民間との主な違い(箇条書き)
- 自由意思での即日退職が難しく、承認が前提
- 退職を拒否された場合の法的争いは複雑
- 退職願の提出先が直属上司ではなく任命権者
退職代行を使った事例 3 ケース
Case①:小学校教諭(20代・女性)
退職理由:メンタル不調とパワハラ対応の限界
代行の流れ:弁護士系代行に相談→教育委員会に内容証明送付→2週間で受理
結果と懸念点:懲戒リスクは回避。後任不在で学校現場は混乱
「罪悪感はありましたが、自分の心を守るのが最優先でした」
Case②:市役所窓口職員(30代・男性)
退職理由:家族介護と職場の人手不足による長時間労働
代行の流れ:労働組合系代行に依頼→総務課と本人間で面談調整→2週間後に自己都合退職
結果と懸念点:引き継ぎ対応を一部拒否されたが法的問題なし
「第三者が間に入るだけで、あんなに話が進むとは思いませんでした」
Case③:消防士(SES出向中・20代・男性)
退職理由:合わない業務と外部出向での孤立感
代行の流れ:民間退職代行サービスを利用→消防本部に連絡→人事面談経て了承
結果と懸念点:出向先と本庁の連携不足で処理に時間がかかる
「家族に代わりに話してもらったような安心感がありました」
地方公務員法との“グレーゾーン”を検証
退職代行を使う際、公務員ならではの法的なグレーゾーンも存在します。特に注意が必要な論点を以下に整理しました。
懸念点 | 内容 | 関連条文・出典 |
---|---|---|
非弁行為 | 弁護士でない代行業者が法律行為を行うと違法 | 弁護士法第72条 |
服務義務 | 正当な理由なく出勤しないと懲戒対象になり得る | 地方公務員法第29条第1項第1号(職務命令違反) |
承認なき辞職 | 任命権者の承認前に職場を離れると懲戒処分の恐れ | 地方公務員法第31条、総務省通知「職員の辞職に関する指導について」(平成15年6月5日) |
退職代行の使用自体が違法とは言い切れませんが、サービスの選定と手順には細心の注意が必要です。
退職手続きを安全に進める 5 つのチェックリスト
チェック①:任命権者を確認する
→理由:提出先が不適切だと無効になる恐れがあるため
→具体アクション:教育委員会や人事課に事前に問い合わせる
「校長に渡したつもりが正式手続きされていませんでした…」
チェック②:退職理由を文書で整理する
→理由:退職願と合わせて正式な説明が必要になるケースがある
→具体アクション:A4 1枚に体調・家庭事情などを簡潔にまとめる
「メンタルの状態を記録しておいたおかげでスムーズでした」
チェック③:退職代行のサービス形態を確認する
→理由:弁護士・労働組合でない場合、法的交渉は不可
→具体アクション:「弁護士法72条に抵触しないか」を必ず事前確認
「安さだけで選び、話が進まず後悔しました」
チェック④:懲戒リスクを理解しておく
→理由:無断欠勤と見なされた場合、信用失墜行為となりうる
→具体アクション:退職代行と綿密に日程調整し、出勤停止を避ける
「退職日まで勤務を続けると決めてから心が軽くなりました」
チェック⑤:退職後の証明書類を確保する
→理由:失業給付や再就職に必要な「退職証明書」が交付されないリスク
→具体アクション:事前に人事に発行依頼書式を確認
「職場から書類が届かず、ハローワークで手続きが滞りました」
専門家コメント
弁護士(労働法専門):「退職代行の利用自体は違法ではありませんが、法的交渉が必要なら弁護士を選ぶべきです」
元教育委員会人事担当者:「教員の場合、教育委員会への事前説明と合意形成が極めて重要です。無断離職は避けましょう」
まとめ
- 公務員の退職には法的な承認が必要
- 退職代行の活用は合法だが、サービス選定が重要
- 正しい手続きと準備で安全な退職が可能
退職代行を選ぶ際は、【2025年最新版】退職代行おすすめランキングTOP6│弁護士&労働組合系を徹底比較!の記事もぜひご参照ください。

また、民間退職とは異なる注意点を知るには、公務員向けの退職マニュアルも併せて確認をおすすめします。
FAQ
Q: 地方公務員でも退職代行を使うことは違法ですか?
A: 法律相談などを代行しなければ、違法とは限りませんが注意が必要です。
Q: 教員が退職代行を使うと懲戒処分のリスクはありますか?
A: 無断欠勤や承認なき辞職と判断されると、懲戒の対象となる可能性があります。
Q: 退職日を即日にすることは可能ですか?
A: 原則として任命権者の承認が必要なため、即日は難しい場合が多いです。
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