副業の始める前の知識:会社や公務員におけるルールへの対応
副業を始めたいと考える方が増えている中で、多くの人が直面する課題の一つが、会社や公務員としての立場と副業の両立です。本記事では、厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を参考に、会社や公務員のルールを踏まえた副業の始め方と対応策について詳しく解説します。
1. 副業の現状と背景
副業を希望する理由は多岐にわたります。たとえば、収入を増やしたい、生活費の補填、自分のスキルや経験を広げたいなどがあります。また、副業形態も正社員、パート、フリーランス、自営業など多様化しています。このような背景から、副業を促進するための環境整備が進められています。
2. 会社が副業を禁止する理由と対応策
会社が副業を禁止する場合、主に以下のような理由が挙げられます。
禁止される場合
- 労務提供上の支障
副業が本業のパフォーマンスに悪影響を与える可能性がある場合。 - 業務上の秘密漏洩
会社の情報が他社に漏れるリスクがある場合。 - 競業行為
同業種の仕事を行い、会社の利益を害する場合。 - 名誉や信用の毀損
会社の名誉や信頼関係を損なう可能性がある場合。
副業を認めてもらうには
- 就業規則の確認
就業規則には、副業に関する明確な規定があることが一般的です。「許可制」や「禁止」の条項がある場合、その内容を十分に把握しましょう。 - 上司や人事への相談
副業を希望する場合は、具体的な内容や時間の配分を説明し、会社に影響がないことを明確に伝えるとスムーズです。 - 副業届の提出
副業を行う際に届け出が必要な場合は、書面で提出し、証拠を残しておくことをおすすめします。
会社が一方的に認めない場合は労働基準監督署や専門家への相談
会社が不合理な副業禁止を課している場合や、不当なペナルティを課された場合には、以下の手段を検討しましょう。
- 労働基準監督署に相談
- 就業規則が労働基準法に反している場合や、不当な指導が行われている場合は相談できます。
- 弁護士や社労士への相談
- 副業禁止が妥当かどうかの法的判断や、必要な対応についてアドバイスを受けられます。
- 会社と交渉する際や、不当な対応を受けた場合に備えて、記録しておきましょう。
- 副業禁止の具体的な指示内容
- 自身の副業内容と本業に影響がないことの証拠(時間管理や収益報告など)
- 上司や人事部とのやり取り
法的背景:裁判所の判断例
裁判所は、労働者が本業に支障をきたさず、会社の利益を直接損なわない副業については、原則として自由を認める傾向にあります。また労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的には労働者の自由として判断しています。
- 例:副業禁止規定があったとしても、それが「合理性を欠く」と判断されれば無効となる場合があります(例:日本郵便事件など)。
- 日本国憲法第22条で「何人も、公共の福祉に反しない限り、職業選択の自由を有する」と定められています。これは、自分が好きな職業を自由に選び、働くことができる基本的な権利を保障するものです。
3. 公務員の副業:原則禁止の理由と特例
公務員の場合、副業は原則として禁止されています。これは、国家公務員法や地方公務員法で以下のように規定されているためです。
原則禁止の理由
- 職務専念義務
公務員は職務に専念する義務があり、副業がその妨げになる可能性があるため。 - 公務員の信用保持
副業によるトラブルが発生した場合、公務員全体の信頼性が損なわれるリスクがあるため。
許可される場合
ただし、一部の副業は許可されることがあります。たとえば:
- 執筆活動や講演
公務としての職務内容に関連し、公私を明確に分けた活動。 - 農業や家業の手伝い
家族経営であり、公務に支障がない場合。 - 地方自治体の特例規定
特定の地域で認められる場合もあるため、所属自治体に確認することが必要です。
公務員が副業を検討する場合のポイント
- 上司への相談
許可が必要な場合、必ず事前に上司や担当部署に相談を行いましょう。 - 収益が発生するかどうかの確認
場合によっては、ボランティア活動とみなされる場合もあります。
4. 健康管理と労働時間の注意点
副業を始める際には、労働時間や健康管理にも注意が必要です。厚生労働省は「長時間労働の防止」を重要視しており、副業による疲労が本業に影響を及ぼすことを避けるよう求めています。
労働時間の管理と体調の健康管理
- 記録の習慣化
自身の労働時間を記録し、過労を防ぎましょう。 - 定期的な休息
本業と副業のバランスを保ちながら、十分な睡眠時間を確保することが重要です。 - 健康診断の活用
健康状態を定期的にチェックし、無理なく副業を継続しましょう。
5. 副業で注意すべき法律と社会保険
副業を行う際には、税金や社会保険の適用にも注意が必要です。
税金
- 確定申告
副業での収益が20万円を超える場合は、確定申告が必要です。 - 住民税の切り替え
本業の会社に副業が知られることを避けたい場合、「住民税を特別徴収から普通徴収に変更する」ことを検討しましょう。また相談の上で副業を行っていたとしても、副業でどれぐらいの税金が発生したかあとで確認できるため、普通徴収がオススメです。
- 普通徴収ってなに?
-
住民税を自分で納付することです。
特別徴収を選択すると勤務先の会社が本人の代わって納付するので副業の収益が勤務先の会社に知られてしまいます。
副業での収益が20万円未満の場合、申告が不要なのは所得税です。
住民税は免除になりませんのでお住いの自治体に申告をする必要があります。(※確定申告をしている場合は不要です。)
社会保険
- 二重加入の可能性
複数の会社で働く場合、社会保険料が二重に徴収される可能性があります。適切な手続きを行い、負担を軽減しましょう。
6. まとめ
副業を始める際には、会社や公務員としてのルールをしっかりと確認し、適切な手続きを行うことが重要です。また、自身の健康や時間管理を徹底することで、副業と本業を両立させることができます。
自分のスキルや経験を活かしながら、無理なく副業を始めることで、収入や自己実現の幅を広げていきましょう。
- 勤務先の就業規則を確認する
- 副業について許可制、申請制などの場合は申請しましょう
- 勤務先が一方的に認めない場合は違法と判断される場合が多いです
- 労働時間外は基本的には労働者の自由
- 国民として職業選択の自由の権利がある
- 20万未満でも住民税は申告必要
出展 厚生労働省 副業・兼業の促進に関するガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000192844.pdf
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