FPが教える!掛け捨て生命保険で十分な理由!必要な保障額の考え方とは?

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「生命保険って、やっぱり掛け捨てはもったいない気がする…」
「できれば、払ったお金が返ってくるタイプのほうが安心じゃない?」

生命保険を検討するとき、多くの人が一度はこんな悩みを抱えるものです。

しかし、実はファイナンシャルプランナーなどの専門家は、多くの場合「掛け捨て型の生命保険で十分」とアドバイスしています。

なぜ掛け捨てが選ばれるのか、その理由は日本に充実している公的保障(遺族年金や高額療養費制度など)にあります。

この記事では、

  • なぜ掛け捨ての生命保険が選ばれるのか
  • 公的保障を考慮した必要保障額の決め方
  • 具体的なシュミレーション

などを、具体的なケースを挙げながらわかりやすく解説します。

「掛け捨て保険で本当に大丈夫かな?」という不安を、この記事でスッキリ解消していきましょう。

目次

生命保険のかけ方(選び方・考え方)

生命保険の選び方は、大きく次の3ステップです。

生命保険の目的を明確にする

生命保険の主な目的は以下のとおりです。

  • 万が一に備える(死亡保障)
  • 病気やケガへの備え(医療保険やがん保険)
  • 資産形成や貯蓄(貯蓄型保の険)

まずは「どのリスクに備えるのか?」を明確にしましょう。

必要保障額を計算する

死亡保障の必要保障額の目安

必要保障額 = 残された家族の生活費 + 教育費 + 葬儀費用 - 遺族年金や貯蓄
  • 例)子どもが小さい家庭なら、子どもが独立するまでの生活費や教育費を重点的に考えます。
  • 独身や扶養家族がいない場合は、死亡保障は葬儀代程度で十分でしょう。(貯蓄があるなら不要な場

医療保険の場合

  • 入院時の費用(自己負担分)
  • 手術費や高額療養費制度を考慮しながら検討

保険商品を比較・検討する

主な生命保険には次の種類があります。

種類特徴
定期保険(掛け捨て)安価で大きな保障を確保できる
終身保険(貯蓄型)一生涯の保障+貯蓄性
養老保険(貯蓄型)満期に保険金を受け取れる
収入保障保険(掛け捨て)定期保険の一種。死亡後毎月一定額を受け取れる

「掛け捨てで十分」と言われる理由

掛け捨てが推奨される理由は主に以下の通りです。

安い保険料で高額な保障が持てる

掛け捨ての保険料は、貯蓄型と比べると大幅に安く設定されています。
同じ保険料なら、掛け捨ての方が圧倒的に高い保障額を確保できます。

資産形成は保険以外でやった方が効率が良い

貯蓄型保険は予定利率が低く設定されており、運用効率が良くありません。
インデックス投資やNISA、iDeCoなどの方が、資産運用の効率が圧倒的に良いことが多いです。

つまり、

掛け捨て保険で最低限のリスクに備え、残ったお金で別途資産運用するほうが経済的に効率が良い。これが掛け捨て型が推奨される大きな理由です。

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掛け捨て以外(貯蓄型)の保険のメリット

掛け捨てが合理的と言われつつも、貯蓄型保険が支持される理由もあります。

確実な貯蓄ができる

貯蓄型保険は途中で解約しにくい構造です。そのため、強制的にお金を貯められる効果があります。

  • 貯金が苦手な人や意志が弱い人に向いている。
  • 満期時や死亡時にまとまった資金を家族に残すことが可能。

税制面での優遇措置がある

貯蓄型の保険には税制面のメリットがあります。

  • 生命保険料控除(所得控除が受けられ節税効果あり)
  • 満期保険金や死亡保険金は非課税または課税が少ないケースがある

資産が多い人が相続税対策として活用することも多いです。

長生きリスクに備えられる

終身保険や個人年金保険は、老後の資金準備としても活用できます。
長寿化に伴い老後資金が不足するリスクにも対応可能です。

掛け捨て型と貯蓄型の比較

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種類メリットデメリット向いている人
掛け捨て型保険料が安い、高額な保障貯蓄性なし、満期時返戻金なしコストを抑え効率よくリスクに備えたい人
貯蓄型貯蓄性あり、強制的な貯金、税制優遇あり保険料が高い、運用効率が低い貯蓄が苦手な人、相続税対策をしたい人

生命保険は「自分がどのリスクに備えるべきか」「効率的に資産形成したいか」「自制心がどのくらいあるか」など、個人のライフスタイルや性格によって適切な選択が変わります。

おすすめの考え方

生命保険を考える場合、まずは次のような考え方が合理的です。

  • 必要最低限の保障を掛け捨て保険で確保する
  • 残りの資金は、NISA・つみたてNISA・iDeCo・インデックス投資等の効率的な方法で資産運用を行う

一方、次のような場合は貯蓄型保険の活用もアリです。

  • 貯金が苦手な人で強制的に貯蓄したい場合
  • 相続対策や節税が目的の場合
  • 長寿に備え、老後資金を確実に準備したい場合

生命保険を考えるうえで高額医療費制度は知っておくべき

高額療養費制度とは?(公的な医療費負担軽減制度)

病気やケガなどで医療費が高額になった場合、自己負担額に一定の上限額が設定され、それを超えた分が払い戻される制度です。

簡単に言えば、1ヶ月あたりの自己負担額には上限があり、それを超えた分は戻ってくる制度というものです。

高額療養費の自己負担限度額(例:70歳未満の場合)

※2023年現在

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年収区分(月収)自己負担の限度額(月額)
約83万円以上(月収)約25万円+(医療費-84万円)×1%
約53万~79万円(月収)約17万円+(医療費-56万円)×1%
約28万~50万円(月収)約8万円+(医療費-27万円)×1%
約26万円以下(月収)57,600円(約5.8万円)
住民税非課税世帯35,400円(約3.5万円)
  • 一般的な会社員(月収約28万~50万円)なら、自己負担は最大で8万円程度/月に抑えられます。

具体的なイメージ(実際の医療費が100万円かかった場合)

月収30万円の会社員が、ある月に手術や入院で100万円かかった場合の自己負担額は、

  • 自己負担上限額(約8万円)+(100万円-27万円)×1%
  • =約8万円+約7,300円
  • =約8万7,300円が上限

となり、約100万円の医療費がかかったとしても、約9万円以下に抑えられます。

残り(約91万円)は公的保険(健康保険)から支払われます。

高額療養費制度と医療保険(生命保険)の関係

こうした手厚い公的保障(高額療養費制度)があるため、

  • 医療保険は『入院日額5,000円~1万円程度』の小規模な保障で十分であることが多い。
  • 過度に大きな医療保障をつける必要はない。

と考えられます。

ただし、入院時の個室費用、先進医療費用(高額療養費対象外)などへの備えとしては、別途少額の医療保険を検討してもよいでしょう。

先進医療費用ってなに?

先進医療とは、厚生労働省が認めた高度な医療技術のうち、将来的に保険適用されるかを評価中のため、現時点では健康保険が使えず、全額自己負担になる治療のことです。

高額療養費制度の『多数該当』とは?

『多数該当』とは、高額な医療費が継続的に発生した場合に、4回目以降の自己負担限度額がさらに軽減される仕組みです。

具体的には、

直近12ヶ月以内に3回以上、高額療養費制度を利用した場合、4回目以降は自己負担限度額がさらに引き下げられます。

多数該当における自己負担限度額(70歳未満の場合)

【2023年度時点】

年収区分(月収目安)通常の限度額多数該当時(4回目以降)の限度額
約83万円以上約25万円+(医療費-84万円)×1%約14万円
約53万~79万円約17万円+(医療費-56万円)×1%約9万円
約28万~50万円約8万円+(医療費-27万円)×1%約4万4,400円
約26万円以下約5万7,600円約4万4,400円
住民税非課税世帯約3万5,400円約2万4,600円
  • 一般的な世帯(月収28万~50万円)では、4回目以降の自己負担上限額が約8万円→約4万4,400円と、大幅に軽減されます。

多数該当の具体例

月収30万円の会社員が、1年以内に大きな治療(例:抗がん剤や手術、長期入院など)を繰り返し受け、4回目の高額療養費適用となった場合

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利用回数医療費(総額)自己負担額
1回目100万円約8万7,300円
2回目80万円約8万5,300円
3回目120万円約9万3,300円
4回目以降100万円約4万4,400円

このように、多数該当により4回目以降は自己負担がさらに約半額に軽減されるため、長期治療時にも安心です。

この多数該当の制度を考えると、

仮に重い病気やケガになり、医療費が継続的に発生しても、公的医療保険(高額療養費制度)の恩恵が非常に手厚いため、実際の自己負担はそれほど大きくありません。

そのため、

入院時の食事代や個室代、交通費などの雑費をカバーする程度の入院日額5,000円程度の医療保険があれば十分でしょう。

医療保険は過剰な保障(高額な入院給付金や手術給付金)をつける必要はありません

高額療養費制度や多数該当をまとめると、

  • 過剰な医療保険は不要
  • 掛け捨て型の安価な保障で十分
  • 余ったお金は、資産形成や教育資金など、別の有意義な用途へ回せる

このように、公的制度をうまく活用しながら保険を選ぶことが、賢いお金の使い方と言えるでしょう。

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具体例を使った公的遺族年金の計算方法

【前提条件の例】

  • 夫(会社員・35歳)、妻(専業主婦・33歳)、子ども(5歳・3歳)の4人家族
  • 現在の毎月の生活費:約25万円(年間300万円)
  • 賃貸住宅に居住(住宅ローンなし)
  • 預貯金は300万円程度
  • 夫が亡くなった場合の遺族年金(遺族基礎年金+遺族厚生年金)を考慮

遺族年金・遺族厚生年金の基礎知識

遺族年金には2つの種類があります。

遺族基礎年金(国民年金)

条件
国民年金加入中の人が死亡した場合、18歳未満(高校卒業まで)の子どもがいる配偶者または子どもに支給されます。

支給額(2023年度)

  • 配偶者に約78万円(年額)
  • 子ども加算(1人目・2人目:各約22万円、3人目以降:各約7万円)
  • 子ども2人いる場合の例
    年間約122万円(月額約10万円)

支給期間
末子が18歳到達年度末まで。

遺族厚生年金(厚生年金加入者のみ)

条件
会社員や公務員など、厚生年金に加入している人が亡くなった場合に、遺族(配偶者・子)へ支給される年金。

支給額の目安

  • 概ね夫が受け取る予定だった厚生年金(老齢厚生年金)の約4分の3に相当。

【支給額例(目安)】

  • 年収400万~500万程度の会社員であれば、年間60万~80万円程度(月5万~6万前後)の支給が目安。

支給期間

  • 配偶者に原則、生涯支給(ただし再婚すると停止)。
  • 子には18歳到達年度末まで。

具体的な例の最終的なシュミレーション

先ほどの家族(子ども2人・夫会社員)で夫が亡くなった場合の試算です。

【夫が亡くなった場合の遺族年金(概算)】

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種類年間支給額月額換算
遺族基礎年金約122万円約10万円
遺族厚生年金約72万円約6万円
合計約194万円約16万円

→つまり、月額約16万円程度は、公的年金で補われます。

遺族厚生年金の『30歳未満』特例ルール(重要!)

30歳未満で亡くなった夫婦で、子どもがいない場合、以下のようなルールがあります。

状況支給期間
30歳未満の配偶者・子なし5年間のみ
30歳以上の配偶者原則一生涯

※子どもがいる場合は、配偶者は一生涯(再婚するまで)支給されます。

これは『若い年齢なら再婚や再就職で自立できる可能性が高い』という考え方に基づいています。

実際に必要な生命保険の金額は?

この家庭の場合、毎月25万円必要な生活費があり、公的年金で約16万円補えるので、差額を考えます。

  • 月の不足額
    25万円 ー 16万円 = 9万円
  • 年間の不足額
    9万円 × 12ヶ月 = 108万円

子どもが独立するまで(末子が3歳→18歳まで約15年間)保障が必要とすると、

108万円 × 15年間 = 1,620万円 が生活費の不足分です。

その他必要な費用の考慮

上記の生活費以外にも、次の費用が必要になる可能性があります。

項目金額の目安
葬儀費用約20~200万円
教育費用(大学進学時の4年間)子1人あたり200万〜500万円程度
急な医療費や引越し費用など約100〜200万円

葬儀費用(150万円程度)

  • 夫が亡くなった時の1回限りの費用です。
  • 1年分ではなく、単発費用。
  • ただし、葬儀の内容によって大きな変動幅あり

子どもの教育費(合計800万円の内訳)

  • 子どもが大学進学するタイミング(18歳頃)に必要な金額です。
  • 子ども2人で各400万円程度を想定しています。
  • これは毎年ではなく、将来の進学時の費用。

予備費・医療費(150万円程度)

  • 万一に備えての緊急予備費。
  • 急な病気や怪我、引っ越し、家電買い替えなど臨時的に必要な費用です。
  • こちらは年間費用ではなく、予備として一度準備しておくものです。

合計:約1,100万円が別途必要です。

トータルの必要保障額のまとめ

  • 生活費の不足分(15年間)=約1,620万円
  • その他費用(葬儀・教育費・予備費)=約1,100万円

合計:約2,720万円

ここから現在ある預貯金を差し引きます(300万円)。

必要保障額=約2,720万円-300万円=約2,420万円

⇒この家族の場合、夫の生命保険は約2,500万円程度あれば十分、という結論になります。

もし妻が働いていた場合は?

項目月額備考
必要な生活費25万円毎月必要な額
遺族年金16万円公的な収入
妻の収入(手取り)13万円年収約200万円の手取り相当(年間156万円)
収入合計29万円16万+13万円

結果として、毎月4万円の余剰が発生します。

  • 毎月の収支:29万円-25万円=+4万円(毎月貯蓄可能)

年間では…

  • 4万円 × 12ヶ月=48万円 の貯蓄が可能。

毎月の生活費は十分にまかなえているため、生活費の不足分は0円です。
また、毎月の余剰(年間48万円)を考えると、15年間で計算すると…

  • 48万円 × 15年間 = 720万円 貯蓄可能(夫死亡後の収入だけで可能)

すると、もともと計上したその他費用1,100万円から、この将来の貯蓄可能分(720万円)を引くことができます。

  • その他費用1,100万円-将来貯蓄できる720万円=380万円 (※預貯金300万円+死亡後の貯蓄可能分720万円=合計1,020万円)

つまり、妻が年収200万円で働いた場合に、夫が準備すべき生命保険の必要保障額は、
380万円程度で十分、ということになります。

ここまでうまく家計がうまくいかず、妻の収入と遺族年金だけで生活費が賄える程度だとしても夫が準備すべき生命保険の保障額は2,720万円-300万円(貯蓄)-1,620万円(生活費)=800万円となり掛け捨て保険でも十分に賄える金額となります。家計の支出の状況や妻の老後、子の年齢によりますが、1000万~2000万円の範囲であれば生活が破綻することはないでしょう。

公的保障を活用した『本当に必要な生命保険』の考え方

ここまで具体的に計算すると、「子どもが成人するまで」など期間限定での保障が必要だと分かります。期間限定なら掛け捨て(定期保険や収入保障保険)で安く大きな保障を確保できるからです。

  • 掛け捨て(定期保険):月2,000円〜3,000円で2,500万円程度の保障
  • 貯蓄型(終身保険):月2万円〜3万円以上必要(同じ保障額なら約10倍の保険料)

保障は掛け捨てで最小コストで準備し、余ったお金は効率よく運用したほうが合理的であるため、FPや専門家は「掛け捨て保険」を推奨するのです。

まとめ

  • 遺族年金(遺族基礎年金+遺族厚生年金)を考慮する
  • 実際の生活費や教育費をリアルに見積もる
  • 必要な期間(子育て期間など)を明確にして保障額を計算
  • 合理的に安く保障できる掛け捨て保険を優先し、資産運用を別で行う

以上を押さえると、生命保険で損せず、無駄なく安心を得ることができますよ。

出展 公益財団法人 生命保険文化センター 高額医療費制度について

https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/8455.html

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